反自民しか価値観、基準のないジャーナリズムとは一体何なのだろうか。過去25年間の参院選関連の朝日新聞社説を読み比べると、反自民のためならダブルスタンダードも当たり前の恥ずかしい姿勢が見えてくる。
社説の見出しと本文引用をならべてみよう。与党の勝敗も付記しておいた。なお、勝敗基準は、朝日新聞の勝手な基準ではなく、「与党が過半数を維持・獲得できたかどうか」を基準とした。
・2010年参院選(民主党など与党敗北)
「参院選 民主敗北―2大政党にさらなる責任」(朝日新聞社説見出し)
「菅首相は選挙結果を受け、続投を表明した。一層の緊張感を持って重責を果たしてもらいたい。日本では、『第二院』である参院選の敗北により首相が交代させられる事態がしばしば起こってきた。(略)もう卒業すべきだろう。そもそも参院選は『政権選択選挙』ではない」(本文引用)
・2007年参院選(自民党など与党敗北)
「参院選、自民惨敗 安倍政治への不信任だ」(朝日新聞社説見出し)
「(安倍)首相は結果を厳粛に受け止めるとしながらも『私の国づくりはスタートしたばかり。これからも首相として責任を果たしたい』と述べ、政権にとどまる意向を表明した。まったく理解に苦しむ判断だ。(略)首相はもっと真剣に今回の結果を受け止め、潔く首相の座を退くべきである」(本文引用)
・2004年参院選(自民党など与党勝利、ただし改選で自民党が第2党となったので朝日新聞社説は元気がある)
「裁かれた首相のおごり 参院選、自民敗北」(朝日新聞社説見出し)
「確かに、参院選は本来、政権選択の選挙ではない。とはいえ、民意はこれまでの小泉政権のありようを認めなかった」(本文引用)
・2001年参院選(自民党など与党勝利)
「後戻りは、もうできない 参院選・自民大勝」(朝日新聞社説見出し)
「有権者は構造改革に伴う『痛み』にためらいつつも、『日本改革のラストチャンス』という思いを込めて、小泉政権の改革断行を支持したと見るべきだろう。(略)小泉政権はこれから、胸突き八丁にさしかかる。国民とのハネムーンは終わり、改革の具体的なプログラムや個々の政策判断が、厳しく問われることになる」(本文引用)
・1998年参院選(与党・自民党敗北)
「速やかに解散・総選挙を 『自民惨敗、首相退陣へ』」(朝日新聞社説見出し)
「(橋本)首相自身、経済失政を問う声に対し、『国民の審判を受けることが、責任を明らかにする最大の道だ』と述べてきたことからいっても、退陣は当然である。(略)次の首相は、できるだけ早く衆院を解散して、国民の信を問う必要がある。(略)自民党が政権にこだわって衆院の解散を遅らせることは、政治の停滞を長引かせ、国際社会の不信を募らせるだけだ」(本文引用)
・1995年参院選(自民党など与党勝利、ただし改選は与党辛勝だったので朝日新聞社説は元気がある)
「総選挙で出直せ 『参院選と民主主義の危機』」(朝日新聞社説見出し)
「『村山政権の打倒』を掲げて初の国政選挙を迎えた新進党は、議席を倍増させる大躍進だ。共産党も善戦である。村山政権が信任されたとはいい難い。ここに至った以上、村山首相は退陣で責任を明確にすべきである。続投しても指導力は発揮できないだろう。新たに『選挙管理内閣』をつくり、一刻も早く総選挙を行って、衆院の新たな議席構成をもとに新政権をつくるべきである」(本文引用)
・1992年参院選(与党・自民党敗北、ただし改選は与党圧勝だったので朝日新聞社説は元気がない)
「『再編』への期待は高まった」(朝日新聞社説見出し)
「有権者の2人に1人が棄権した今度の参院選挙は、『しらけ選挙』の異名を残したようだ」(本文引用)
・1989年参院選(与党・自民党敗北)
「政治は出直さねばならない」(朝日新聞社説見出し)
「今回の国民の審判は『いっときの感情』などによるものではなく、豊かな情報の中での自由な選択という民主政治の健全な機能を示すものだ。(略)(宇野)首相が進退について決断しなければならないのは当然である」(本文引用)
・1986年参院選(与党・自民党勝利)
「民意をどう生かすか」(朝日新聞社説見出し)
「(中曽根)首相と自民党の幹部に、まっ先に注文したいのは、圧勝におごることなく、謙虚な政治運営を心がけてもらいたいということだ」(本文引用)
ざっと見てもわかるように、朝日新聞のダブルスタンダード体質は異常である。私も、参院選で与党が敗北しても、政権が退陣する必要はないと考えている。だから、橋本政権も安倍政権も、ずっと続投するべきだった。もちろん、菅政権も続投すべきである。しかし、朝日新聞は、菅政権の続投を支持する一方で、安倍政権、橋本政権、宇野政権には退陣を迫った。さらに橋本政権には、速やかな解散総選挙まで要求している。滅茶苦茶だ。
過去25年間、勝手に参院選を過大視して、政局を混乱させてきたのは、ほかならぬ朝日新聞である。それを、「もう卒業すべきだろう」と、他人事のように言うのはどういうつもりなのだろうか。有権者は昔から政局ジャーナリズムなど相手にせず、「いっときの感情」ではなく「豊かな情報の中」で、主体的に政策本位の選択をしている。政局ジャーナリズムを卒業して、ダブルスタンダード体質を改めるべきなのは、朝日新聞自身である。

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反自民のためならダブルスタンダードも当たり前──過去25年間の参院選関連の朝日新聞社説読み比べ
2010/7/12
— posted by 宮島理 at 04:19 pm
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