「あらゆる競争相手を研究しろ。欠点は探すな。長所を探せ」(サム・ウォルトン)

 全米最大にして世界最大の小売業であるウォルマート社は、創業者・サム・ウォルトンの弛まぬ努力による産物だ。
 ウォルトンは第二次世界大戦に従軍。1945年に除隊すると、自分で小売業を始める。さまざまな店を手がけた後、行き着いたのがディスカウントストアだった。
 1950年代、アメリカはディスカウントストアの草創期だった。ウォルトンは何年もかけてディスカウントストアのことを研究し、1962年7月2日、「ウォルマート」1号店をオープンする。
 初期のウォルマートは、決して業績が良いとは言えなかった。しかし、これは1つの実験でもあった。ウォルトンはあえて納屋のような殺風景な店舗に商品をならべることで、純粋な低価格路線だけでお客をどれだけ集められるかを試していたのだ。
 実際、納屋のような店舗でも、お客は安い商品を求めて訪れた。その上で、低価格路線に加えて内装もきれいにした店舗では、売上は順調に伸びていったのである。
 ウォルトンはライバルの研究に熱心だった。多くの店を実際に見て回り、取り入れられるものはどんどん取り入れた。

「私の経営はけっしてベストではない。もっとベターな方法を、他社がやっているはずだ。それをつぶさに見て回り、改善を続けることが何よりも大事な経営なのだ」(『私のウォルマート商法』より)

 部下に対しても、「あらゆる競争相手を研究しろ。欠点は探すな。長所を探せ」というのがウォルトンの口癖だった。
 メンバーシップ・ホールセール・クラブ(会員制倉庫型店舗)に進出したのも、ウォルトンの旺盛な研究欲がきっかけである。メンバーシップ・ホールセール・クラブというフォーマットを開拓したソル・プライスに会いに行くなど、熱心に研究を進めた上で、1983年、「サムズ」1号店をオープンさせている。
 ディスカウントストアに飽きたらず、メンバーシップ・ホールセール・クラブなど常に新たな変化を追求した結果、1970年に32店舗、売上高3億1000万ドルだったウォルマート社は、2002年には4414店舗、売上高2198億ドルにまで拡大した。これは小売業として世界一であるだけでなく、世界中の株式会社においてもトップとなる業績だ。ちなみに、2位はエクソン・モービル(1915億ドル)、3位はゼネラル・モーターズ(1772億ドル)である。

■参考図書
サム・ウォルトン『私のウォルマート商法』(講談社)

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